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金属修飾したイオン交換樹脂を用いた

グルコースからのHMF製造

金属修飾したイオン交換樹脂を用いたグルコースからのHMF製造

 従来,ペットボトルや繊維などの身の回りの化学製品は石油から基礎化学品※を生成し,これらをポリマー化することで作られてきました。しかし,石油資源の枯渇や地球温暖化への影響の観点から石油資源の代替が必要となっています。そのため,地球上で唯一の再生可能な炭素資源としてバイオマスの利用が注目されています。このバイオマスは基礎化学品のような炭素骨格を保有し,それに加えてポリマー化に必要な官能基を持つという点から環境に配慮した化学製品が安価に製造できる可能性を秘めています(Figure 2)。

 この中で,セルロース系バイオマスからヒドロキシメチルフルフラール(HMF)へ変換する研究が注目されています。HMFは酸化させると2,5-フランジカルボン酸が生成され,これはポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate: PET)の代替として期待されるポリエチレンフラネート(polyethylene furanoate: PEF)へ変換できるため,バイオマスから生成できる化合物の中で最重要化合物とされています。一般的に,HMFはセルロースの加水分解で得られるグルコースにより生成されますが,変換途中で生成される中間体は反応性が高く副反応が生起し,グルコースからHMFを高収率で得ることが困難とされています。

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 最近では,ルイス酸とブレンステッド酸の2種類の触媒を使用したグルコースの変換が研究されています。これはルイス酸によりグルコースを異性化させフルクトースにし,その後ブレンステッド酸により脱水反応を促進できるため副反応が抑制しつつHMFの生成が可能ですが,適切な触媒は未だ検討段階にあります。

 当研究室では金属を修飾させたイオン交換樹脂を用いたHMF製造を検討しております。この方法はイオン交換樹脂のブレンステッド酸点を金属によりルイス酸点に変換させるとルイス酸点で生成されたフルクトースが近くのブレンステッド酸点でHMFへ変換されることが可能となり, HMFを高収率で得られることが期待され,またイオン交換樹脂は触媒調製が簡便であることからHMFを安価に生成することができます(Figure 3)。本研究では,イオン交換樹脂に修飾する金属種の効果把握や反応プロセスの構築等を検討しています。

※基礎化学品…エチレン,プロピレン,ブタジエン,ベンゼン,トルエン,キシレン等の化学製品の原料として使用される化合物

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