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​当研究室を目指す学生へ

 卒業研究を通じて学んで欲しいことはたくさんありますが、「社会人として必要な能力を身に着けること」が重要と考えています。

 ある企業アンケートの結果では、①ビジネスマナー、②積極性、③コミュニケーション能力を身に着けた人物を求めているとありました。研究に関する専門知識は必ずしも企業の生業と一致しないので、指向性は考慮されるものの必須ではないようです。

 では、上記の①~③を身につけていれば大丈夫でしょうか?当研究グループではそれ以外の要素も必要と考えており、特に「④個性を発揮して特長を出すこと」、「⑤様々な問題に対する適応力」、「⑥依頼された仕事以上の結果を出す努力」が重要と考えています。これらは研究の性質と似た部分があります。研究では、他の研究にない独自性が求められ、それを裏付けるための結果(データ)を得る必要があるからです。つまり、研究室で生活をする中で上記の①~③を学びながら、研究テーマとしっかり向き合うことで④~⑥を身に着けて欲しいと思います。

 また、当研究グループでは企業との共同研究や受託研究を数多く受け入れています。これらの研究を担当する学生は企業の研究者と直接コンタクトを取ることが多く、良い経験になると考えています。さらに、大学院まで進学して3年間(学部1年間+大学院2年間)様々な経験を得て優良企業に就職する学生を多く輩出しています。卒業研究にかかる1年間(進学の場合は3年間)は社会に出るための助走期間ですから、「社会人0年生」としてしっかり最後まで学び続けて欲しいと思います。

研究室での生活

 研究室に来る時間は個人の自由としています。ただし、一週間分の予定(登校時間および実験内容)は申告し、教員も含めて共有します。毎月研究報告会を行いますので、報告するための結果があれば毎日来る必要はありません。ただ、研究結果は簡単に得られるとは限りません。失敗を重ねながら徐々に良い方向へ進むことが多いので、就職活動や個人的な予定などをうまく調整しながら研究することが求められます。

 研究室の生活スペースには大学院生・学部生全員の座席を用意しています。研究以外に履歴書を書いたり、就活情報を研究室メンバー同士で共有したり談笑したりして過ごしています。昼食や夜食を取ることも可能です。実験結果が出てくると学生同士で議論することもあり、全員で切磋琢磨しながらそれぞれの学びに繋げています。

 実験スペースにおいて事故が起こる確率はゼロにすることはできません。白衣、保護メガネの着用が必須であることは当然ですが、ナビロール手袋、軍手などを必要に応じて着用します。当研究グループの実験は高温高圧の場合もあり、十分な注意が必要です。実験マニュアルをきちんと整備して事故の確率をできるだけ小さくし、起こってしまった場合も被害を最小限とするように事故対処訓練も行っています。このルールを守れば各種実験機器や分析装置は自由に使用できます。研究に必要な物品も各自で見積りを取り、許可を得た上で購入できます。その他のルールは学生同士で決めて教員監督のもと学生が研究室の自治運営を行っています。

​研究テーマの決定と進め方

 3年生後期に研究室に配属され、研究基礎実験が始まります。当研究グループでは、次年度研究テーマについて説明を行い、面談によって希望を調査します。

 研究テーマは前年度からの継続もしくは新規のテーマを用意しており、各年度によってその割合は異なりますが、基本的には継続テーマとなります。配属人数には限りがありますので必ず希望通りになるとは限りませんが、研究遂行が可能な範囲で希望を優先して研究テーマを決定します。

 研究テーマ決定後は各テーマごとに文献の調査や実験の引き継ぎ等を行います。さらに、現在の研究テーマの問題点を把握して次年度にどのような検討を行うべきか調査し、その内容に関する発表会を開催します。4年生になることが決定した段階で研究テーマをそのまま継続するか、異動するかを決定します。

 就職活動に入ると、どのような研究テーマで研究をしているか問われることがあります。そのような事態に対応するため、3年生後期から研究テーマを定めて研究について詳しくなるように進めています。

卒業後の進路について

 大学院に進学した方が就職は良くなりますか?という質問を良く受けますが、就職決定率は学部卒であっても大学院卒であってもほとんど変わりません。ただし、希望によっては大学院に進学した方が有利になる場合があります。

 学部卒で就職する場合は卒業研究が始まるとすぐに就職活動をすることになります。つまり、研究を経験していない状態で活動する訳ですから研究職希望で面接に行っても自分を売り込むことが難しく、企業側も合格を出しずらい状況にあります。研究職を目指すのであれば大学院に進学し、大学院2年生まで研究に没頭して様々な経験を得ることをお勧めします。

 

 当研究グループでは、研究活動を通して自律するように過ごしているので大学院卒の先輩は各自の希望に見合う企業に就職できることが多くなっています。しかし、研究職に拘らない場合は2年間の学費がかかること(さらに2年分の給与が貰えないこと)を考えれば、学部卒で就職した方が有利かもしれません。つまり、どのような就職の仕方を望むのかによって変わってきます。希望する企業の業種、働きたい職種、勤務地、給与、福利厚生など考えることは色々あります。

 名前を知っている企業だけがマッチングする企業とは限りません。自分の希望をしっかり把握して就職・進学について考えて欲しいと思います。

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