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炭化水素油中接触水素化における

セルロースの反応機構解明および

新規触媒開発

炭化水素油中接触水素化を用いたバイオマス由来炭化水素の製造

 現在,一次エネルギーの大部分が石油等の化石資源に依存していますが,利用時に排出される二酸化炭素による地球温暖化や化石資源の枯渇が危惧されており,石油に代わる燃料の開発が求められています。その中で,持続発展可能な社会構築のため再生可能かつ安価なバイオマス※が有望視されており,接触水素化によるバイオマスの液化が検討されています。この方法は水素化によりバイオマスの分解および脱酸素を同時に行い,酸素含有率の低い液体燃料を生成させる方法です。

 従来の研究では,水素源として多量の水素ガスを使用する方法が検討されてきましたが,効率的な水素供与は困難とされています。最近では,溶媒に水素供与体であるアルコールやテトラリン等を使用し,溶媒から触媒表面への水素移行を促進させて酸素含有率の低い液体燃料を生成する方法が検討されています。しかし,アルコールは副生するケトンやアルデヒドの反応性が高く,酸素を含有する生成物が残留してしまいます。一方,テトラリンは副反応を抑制できるものの,沸点が液化油に近いためテトラリンと液体燃料の分離が難しく,液体燃料の性状に影響を与えます。そのため,バイオマスの接触水素化においては水素源となり,液体燃料と分離性の良い,または分離する必要がない溶媒が求められています。

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 当研究室では,溶媒に炭化水素油用いた接触水素化プロセスを提案しています。輸送用燃料として使用される直鎖炭化水素を溶媒に使用することでバイオマス由来液化油との分離が必要なく,そのまま液体燃料として使用することが可能となります。また,この溶媒とともにアルカン類に対して脱水素活性がある水素化触媒を使用することで,多くの水素を保有する直鎖炭化水素から含酸素化合物へ水素を供与できることが期待されます(Figure 1)。本研究では,バイオマスの主成分であるセルロース,ヘミセルロースの反応機構の解明,本反応における最適な水素化触媒の開発等を行っています。

※バイオマス…廃棄物系バイオマス(紙、家畜糞尿、食品廃棄物、建設廃材(ガラ)、製材工場残材、黒液、下水汚泥等)、未利用バイオマス(稲藁、麦藁、籾殻、林地残材)および資源作物(サトウキビやトウモロコシ)などの総称

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